現在、株式市場も債券市場も先行きが不透明になりつつあります。
そんな昨今、ひとつの有力な投資先の候補として挙がってくるのがゴールド(金)です。
今日は金投資について勉強していきたいと思います。
金投資の特性
貨幣としての金の歴史
貨幣としての金の歴史について語りだすとそれだけで本が一冊書けてしまう(笑)ほどなので、ここではザックリ説明したいと思います。
19世紀から20世紀にかけて、金は世界の基軸通貨として機能していました(金本位制)。
しかし、世界恐慌や第二次世界大戦の影響で金本位制から離脱する国が相次ぎ、
最後まで金本位制を維持していた米国も1971年ニクソンショックが起き、金本位制が停止されます。
こうして世界は金を裏付けとしない管理通貨制度に移行します。
金本位制は突然終わりを告げ、世界の基軸通貨が実質的に米ドルに変わったのでした。
その後、金は原油や小麦などと同じコモディティの一種として市場では取引されています。
金の希少性|埋蔵量、生産量、消費量
金は地球に23万トンしかない
金がかつて世界で基軸通貨となった理由のひとつに「金の埋蔵量には上限がある」という事実があります。
現在、地球には金が約23万トンあるとされ、すでに18万トンが発掘されました。つまり、残りの埋蔵量は約5万トンと言われています。
「金のこれまでの採掘量と地球に残された埋蔵量」より
金の埋蔵量はあくまで推定ですので、今後さらなる金が発見される可能性はあります。
しかし「金が有限な物質である」「金は希少である」ことは間違いなさそうです。
金の年間生産量は4500トン、消費は4000トン
金を生産と消費という観点から見ていきましょう。
金の年間生産量は約4500トン(2018年)です。
そのうち約3300トンが発掘で、残りの約1200トンが中古品のスクラップ(再利用)です。
金の主な用途(需要)は宝飾品(約2100トン)、現物金投資(約900トン)、公的部門購入(約500トン)、工業用(約400トン)です。
四捨五入しているため若干数値が合いませんが、おおよそ年間4000トン消費されています。
(参考)金の需給データ
データを見ると、金は「生産>消費」となっており生産がダブついている印象を受けます。
しかしながら、中央銀行による金の買入(公的部門購入)は年々増加傾向で、現物金の需要も底堅いです。
需要と供給の観点でそれほど悲観する必要はないと考えています。
金の価格推移チャート
金はリーマンショック時に急騰
次に金価格の推移を見ていきましょう。
こちらは楽天証券が作成した、1975年から2020年までのニューヨーク金価格の長期チャートです。
(PDFはこちら)
チャートを見ると、2008年のリーマンショック以降に金価格が強く上昇していることがわかります。
上昇した理由としては、投資格言の「有事の金」という言葉で説明できるでしょう。
有事というのは世界経済に打撃を与えるような出来事を指します。
世界経済の発展が見込めないときは、将来の成長を織り込んだ株式よりも、価値が安定した金のほうが好まれる傾向があります。
換言すれば、金は不況やショック時にパフォーマンスを発揮する商品といえるでしょう。
金価格の上昇は経済危機からしばらくして起きる?
もうひとつ興味深い事実があります。
それは金価格がリーマンショックのあった2008年直後よりも、リーマンショックの影響が可視化されてきた2010年以降のほうが急上昇していたという事実です。
つまり、金価格の上昇局面はショック直後ではなく、少し時間を置いてからのほうが伸びていたということです。
これがどういう経緯によるものなのか、はっきりしたことは僕にもわかりません。
ただ、当時は
- 株価も全然ダメで未来に明るい材料が少なかったこと
- リーマンショックがメディアでもさかんに喧伝されるようになっていたこと
- 金融機関に対する規制が厳しくなりつつあったこと
こういったことから、リスク回避的に金価格の上昇に結びついたのではないかと推測します。
おわりに
以上、金について勉強してきました。
で金を投資対象として考えてみるとなかなか面白い商品であることがわかるかと思います。。
また、「今ゴールドに追い風が吹いている」のは間違いなさそうです。
ただし、金は非常に奥が深い商品なので、もう少し勉強が必要な気もします。
「金投資といっても、実際に何を買えばいいの?」
「金投資のリスクってどういうことを考慮すればいいの?」
「金じゃなくてビットコインのほうがいいんじゃないの?」
次回はこれらの疑問についても考えていきたいと思います。
本日は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。
次回記事はこちら
金投資のお勉強2|金投資のリスクを考える