最近インフラファンドが下落していて、特にここ数ヶ月は下落一直線です。もはや暴落といってもいいでしょう。
今日はインフラファンドの低迷について調べてきたので備忘録も兼ねて書いていきたいと思います。
*あくまで備忘録なので用語や説明に不正確・不十分なところがあるかと思いますが、ご了承ください。
REITとインフラファンドの比較
まず東証REIT指数と東証インフラファンド指数を比べてみましょう。
東証REIT指数
東証インフラファンド指数
チャートを見て明らかなように、インフラファンドは年初来から大崩れしています。
実際、REITは年初来1800前後から1690前後(10/24)までと年初来マイナス6%ですが、インフラファンドは年初来1080前後から767前後(10/24現在)、年初来マイナス29%です。
REITと比較すると、いかにインフラファンドが安くなっているかがわかるかと思います。
インフラファンドが下落し続けている理由
金利の影響
まず考えなくてはならないのが金利の影響です。直近10年国債利回りは直近0.95%まで上昇しています。
今後も金利が上昇する懸念があるということで借入の多いインフラファンドは影響を多少受けると思います。
ただしインフラファンドの大部分は固定金利の割合が高いため、金利が上がっても影響は限定的でしょう。
インフレによる経費増加
インフレによる悪影響の本丸はこちらだと思います。太陽光発電による売電収入はFITにより固定されている一方、経費に関しては当たり前ですが変動します。
今後インフレが年々進むと仮定した場合、経費や販管費の増加は避けられません。それはすなわち営業利益の減少となり、分配金の減少という結末に至るのは想像に難くないです。
これはかなり由々しき事態かと思います。
利益超過分配金の実質廃止
先日カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人の決算説明資料を読んでいて衝撃を受けたのがこちらです。
利益超過分配金の実質廃止
簡単に言えば今まで投資主に還元していた利益超過分配金をやめて、そのお金でリパワリングや、新規物件取得、自社投資口買い、有利子負債の繰上げ返済を行いますよ、という方針です。
これによって、来季の予想分配金が大幅に減少する見通しになりました。
利益超過分配金はあくまで出資金の払い戻しです。理論的に影響はないはずですが、これは個人投資家にとっては非常に大きな衝撃です。インフラファンドのアイデンティティといえば安定配当ですから、減配となれば大問題です。
今回のカナディアンの発表は非常にインパクトがあるもので遅かれ早かれ他の銘柄でも追随するところが出てくるでしょう。今回の下落の一翼を担っているのは間違いないと思います。
とはいえ個人的には今回のカナディアンの発表は非常に勇気ある発表で、また内容も評価に値すると思います。インフラファンドの健全な成長を促すもので、長期的に見ればむしろプラスに作用するのではないでしょうか。
当局の迷走|規制案に翻弄されるインフラファンド
長期安定適格太陽光発電事業者
先日資源エネルギー庁からこのような資料が公表されました。
再生可能エネルギーの長期安定電源化について|資源エネルギー庁
資料は客観的な目線で書かれていますが、ここではインフラファンド投資主という目線で、独断と偏見で主観的に説明します。
まず太陽光発電事業者という観点で見た時、日本は各国と比較して小規模事業者が多いです。そしてFIT制度が2032年から段階的に終了し、今後小規模事業者はいままでのように儲からなくなることが予想されます。そうなると小規模事業者は太陽光発電を放置して荒地になってしまうリスクがあり、それは環境にも悪影響です。
その対策をどうしようか。2032年になる前に【誰がババを引くのか】決めましょうという会議です。
登場するプレイヤーは小規模事業者(売り手)、大規模事業者(買い手)、事業評価者、関連プレイヤー(銀行、メーカー、保険)、政府という感じです。
明確には書かれていませんが、僕の偏見では大規模事業者を「長期安定適格太陽光発電事業者」として、一定のメリットを与える代わりに大規模事業者にババを引かせようとしている印象です。
この案の問題点として、一見する限りでは長期安定適格太陽光発電事業者の要件が厳しく、またメリットもそれほどではない印象です。
制度設計次第ではインフラファンドでも長期安定適格太陽光発電事業者になる・ならないが分かれそうでして、インフラファンドの立場はさらに複雑になりそうです。
この問題は制度設計当初からわかっていたことと思います。なぜ今になって、議論しているのでしょうか?導管性問題といい、今回の議論といい、規制に翻弄されるインフラファンドの姿を見ていると、正直投資主として憤りを覚えます。
この辺りの規制案が嫌気されてインフラファンドが売られている側面がありそうです。
太陽光パネル大量廃棄問題
もう一つ、考えるべきこととしては太陽光パネルの大量廃棄問題があります。
パネルのリサイクルは利害関係者が多く、制度設計が難しい。製造から発電、解体・撤去、再資源化などで多様な事業者が関わっており、各事業者にかかる費用負担や責任分担の利害調整が求められる。委員からは、メーカーにもリサイクルの責任を求める「拡大生産者責任」の考え方を取り入れる必要性や、発電事業者による廃棄計画の作成を求めるといった意見が出た。
記事によると、大規模事業者はすでに廃棄費用の積立を行っているようなので影響は限定的かと思いますが、さらなる規制が入る可能性があります。行末は慎重に見守る必要がありそうです。
おわりにー下落が止まるのはいつか。
以上です。
このような感じで外部環境、内部環境ともに課題が山積しているのが現在の太陽光発電で、不安な日々が続いています。その影響を受けてインフラファンドが大幅下落しているのだと思われます。
最後に私の見立てですが、利益超過分配金が廃止になる可能性を考えればもう少し価格を下げてもおかしくはないと思いつつ、そろそろ価格に妙味がある水準になってきているのではないかと思います。
*ただし、インフラファンドはあくまでポートフォリオのごくごく一部で保有するべきという立場です。
(参考記事)インフラファンドのお勉強②|リスクと投資判断
今日は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。
*あくまで投資は自己責任でお願いします。