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映画レビュー 人生

【惜しい】映画版「推しの子」を観た感想

    こんにちは。先日推しの子を観てきました。

    今日はその感想を語っていきたいと思います。
    (*私が視聴したのは実写版と映画のみです。以下ネタバレを含みますので、ご了承ください。

    覚悟はよろしいでしょうか?

    それでは行きたいと思います。

    推しの子のストーリー

    感動の出来!前世の記憶編

    物語は大きく分けると、前世パートと復讐パート2つがあります。

    前世パートでは、アクアとルビーの前世が描かれます。

    前世のルビー(さりな)は、重い病に侵され絶望の状況にありますが、アイドルのB小町と前世のアクア(研修医のゴロー)に好意を抱き、生きる希望を見出します。さりなは結局亡くなりますが、生前に宝物であるB小町のキーホルダーをゴローに託します。ゴローはそれがきっかけとなってB小町のファンになります。

    その後B小町のセンター、アイが妊娠し極秘でゴローの病院へ訪れアイとゴローの交流がはじまりますが、病院内に不審者が現れ、結果ゴローは死亡。そして理由不明ながらアイの実子として生まれ変わるのでした。

    この前世パートは非常によかったです。実写ならではの迫力があって、リアルな出来事として感じられます。また、さゆりがキーホルダーをゴローに渡すシーンはかなり感動的で、原作をわかっていても涙なしでは見られないストーリーになっています。

    ハラハラドキドキの復讐劇編

    復讐パートでは、アクアがアイの父でもあり、アイ殺害事件の黒幕でもあるヒカルに復讐を果たすストーリーが描かれます。アクアはヒカルの悪行を白日のもとにさらす名目で、アイ殺害事件を基にした映画を企画し、作中の犯人役としても登場します。

    その後まあいろいろとありますが、結果的にはアクアがヒカルとともに海に転落し、自らの命を犠牲にして復讐を果たすという結末に至ります。

    やや駆け足で物語が進行し心情が若干追いつかないところはありますが、特にアクア対ヒカルのシーンはハラハラドキドキで全体的には見応えがある作品になっています。

    推しの子を観た感想

    多層的な視点でメタが多い

    まず何よりこの作品はメタが多いです。

    まず映画の舞台が映画制作の現場です。映画の裏側を題材にした映画ということ自体がそもそもメタ的です。また、アイドルというテーマを切り取っても、アイドルの裏側を見せたり、アイドルを支える裏側の制作陣を見せる描写が多くメタな視点で描かれています。

    また、主人公のアクアも

    • 前世の記憶をもっている
    • 自分の経験した事件を別のキャラとして演じている

    といった感じで、これまたメタ的な存在です。

    そして、この映画のストーリーもメタ的な構成になっています。映画はAmazon prime版で配信された実写版の続編という位置付けですが、時系列的にはAmazon prime版より前となる前世パートが描かれています。

    これはAmazon Prime版を見ている人、見ていない人、どちらでも物語を理解できるようにするための工夫で一定程度成功していると思いますが、ここまでメタ的な作品もなかなかないな〜という感想で、深く考えると正直かなり疲れる作品に仕上がっています。

    後半が駆け足で説明不足

    後半の復讐編のパートですが、尺の都合上でしょうか?かなり駆け足な印象があり、登場人物の行動原理が若干わからない部分が多くありました。

    例えば、ヒカルはアクアの作品への出資していますが、なぜヒカルが自らの悪行を暴く映画に出資したのか、はっきりとわかりませんでした。それらしき描写はありませんでしたが、まあヒカルは人生に飽きていてわくわくしそうなことを単に求めていたのかなと個人的には想像しています。

    他にもカナがスキャンダルの責任をとってB小町から卒業しますが、カナの心情も少し読み取りずらかったです。責任感が強いキャラなので3人グループの1人が脱退することの重大さもわかっているはずです。「役者をやりたい」という心情の吐露がありましたが、以前から役者とアイドルの二足のわらじ状態で、それだけだと理由として少し弱い気がします。

    とまあこんな感じで若干の消化不足感は否めませんでした。

    なぜ回りくどい復讐をするのかを説明してほしかった

    一番説明して欲しかったのがこれです。

    アクアは映画という題材を使ってヒカルに復讐するという手段をとります。なぜそのような回りくどい復讐策をとるのか?

    作中ではヒカルにより苦しみを与えるためという説明がありましたが、結果的にヒカルが苦しんでいる描写は一切ありませんでした。結果論で全て片付ける気はありませんが、少なくともアクアが【なぜ映画という手法をとることがヒカルがより苦しませることになるのか】の説明がもう少し欲しかったです。

    また、アクアが映画を制作すればヒカルからの反応があるはずです。どのように反応するのかアクアが想定していたのか、そしてそれに対してどのような打ち手を準備していたのかも説明が欲しかったです。そういった相互作用についての考察があるとより物語が深まったと思いました。

    「君」という呼称

    この作品で気になったところとしては、「君」という呼称があります。私の記憶する限り、実写版では「君」という呼称は3回登場します。

    1.あかねがアクアに対して怒る場面

    2.かながアクアにタイマンで話す場面

    3.ヒカルがアクアに話す場面

    いずれの場面でも、決してポジティブな会話ではなくネガティブな言葉を放つシーンですが、裏側には愛情が感じられるシーンでもあり好意を持って君(=アクア)を見ていることがわかります。

    最後のヒカルとアクアが対峙する場面については完全な想像ですが、【ヒカルは退屈していてアクアという遊び相手ができたことに好意を持った】という感じかなと想像しています。

    「(普通の人間であれば)希望を失わずに生きていくことが大事」

    この映画の最終盤では、亡きアクアがナレーターとして「どんな姿になっても希望を持って生きていくことの大切さ」を語ります。これ皮肉が効いていて面白いなと思いました。

    アクアは復讐のために生まれ復讐を成し遂げて死にました。復讐を諦めて凡人として生きていくという選択肢も取ろうと思えば取れたはずです。しかしながら自分の身を滅ぼしてでも復讐を成し遂げるという選択をしました。

    【どんな姿になっても希望を持って生きていくことが大事だ】というメッセージを語りつつ復讐のために自らの命を犠牲にするアクア。自分の生き方を肯定するのであれば、普通メッセージは逆になるはずです。

    アクアの母のアイも変なところがありましたが、アクアも同様に復讐に取り憑かれた狂った人間です。

    【(普通の人間であれば)どんな姿になっても希望を持って生きていくことが大事だ。(自分みたいな狂人にはあてはまらないけど)】

    こんな感じでカッコ書きが隠れたメッセージかなと想像しました。突き放した感じで、なんだか皮肉的に感じました。

    おわりにーライブ映像を是非観てほしい

    以上、推しの子を見た感想でした。

    少々駆け足な印象こそありましたが、全体的には満足できるクオリティの作品だと思います。

    特にアニメや漫画などしか観ていない方はぜひ実写版や映画版を見てほしい作品だと思いました。というのも劇中のライブ映像などが非常に素晴らしく、これは実写映画でこそだと感じました。また芸能事務所社長を演じる吉田鋼太郎をはじめとした演技も見事で見応えのある印象でした。

    ぜひ映画をご覧になる方は事前にAmazon Prime版を見ていただければと思います。
    (全8話です。私も気乗りしませんでしたが、絶対にAmazon prime版を視聴してから鑑賞したほうがいいです)

    推しの子|Amazon prime

    今日は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。

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