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投資 外国株

ロシア株投資銘柄|ガスプロム(GAZP)を本気で解説してみた。

     

    昨年ロシア株を合計3種類買いました。

    今日はそのうちの一つ、ガスプロム(GAZP)について紹介していこうと思います。

     

    記事を書いていたら合計3000字超になってしまいました。難しいことも多いので、わからない箇所は飛ばしてわかる範囲で読んでいただければ幸いです。

    ちなみにロシア株式のファンダメンタルズ等についてはこちらの記事に解説したのでご参照ください。
    (参考記事)ロシア株を購入した理由

     

    ガスプロム(GAZP)とは

    ガスプロムはロシア最大の企業で、天然ガスの製造・精製・輸送などを主な事業としています。

    ガスプロムの詳細についてはwikipediaにまとまっているので、(少し古いですが)一部を引用します。

    ガスプロムは、ロシアの企業。天然ガスの生産・供給において世界最大の企業である。半国営の天然ガス独占企業である。…ロシア政府が50.23%の株式を保有している。
    天然ガスの生産高(採掘量)は5237,9億m3で、これはロシアの88%、全世界の23%に相当する埋蔵量は、17,800 km3で、これは世界の38%を占めると言われる
    …パイプライン15万2000km、地下貯蔵施設22ヶ所(総容量790億m3)を保有し、採掘、生産、供給、販売までを独占している。

    天然ガスの生産高(採掘量)は全世界の23%

    埋蔵量は全世界の38%

    つまり、世界のエネルギー埋蔵量の38%がガスプロムが所有しています。

    これを読むだけで、ガスプロムがとんでもない企業だということがわかっていただけたでしょうか?w

    もともとガスプロムは元ソビエト連邦の旧ガス工業省なだけあって、もう本当に圧倒的な規模をもつ企業です。潜在的な埋蔵量だけで言えば世界ナンバー1エネルギー企業と言っても過言ではないでしょう。

    しかし、ガスプロムは規模が大きすぎるゆえにいろいろと弊害を被っている企業でもあり、さまざまな問題を孕んだ企業でもあるのです。

     

    影響力が強すぎるがゆえにいじめられてしまう

    「なぜガスプロムが問題を孕んでいるのか」を知るためには国際政治への理解天然ガス(パイプライン)への理解が必要です。

    まずは国際政治について説明します。

    ガスプロムの主な顧客は(国内消費者を除けば)東欧諸国(ドイツ含む)です。東欧諸国はパイプラインという水道管のようなものをロシアと結んで、その管から天然ガスを利用します。そういった構造上、ロシアへのエネルギー依存度が非常に高くなってしまいます。

    ところで東欧諸国はEUに加盟しています。一方で、ロシアはEUメンバーではありません。

    そのため、

    生産国のロシア(ガスプロム)V.S. 消費国のEU諸国

    という構図が出来上がります。

     

    EU諸国は事あるごとに、「独禁法違反だ〜課徴金を」とか「パイプラインの管理権をよこせ」とか「パイプラインを政治の道具に使うな」とか「EU内のガス契約指令を守れ」とか文句を言ってきます。

    つまり、ガスプロムは老獪なEUの戦略にやられて思ったほどの利益を稼げていないのです。

    もちろんガスプロムも対策を講じますが、EUとして結束されてしまうとさすがに勝ち目は薄いです。

    それぞれの細かな説明は省きますが、ガスプロムの置かれた状況はなかなか難しいもので、もはや民間企業というよりは外国の政治や政策に踊らされてしまう企業なのです。

     

    パイプライン事業の不都合な現実

    もうひとつガスプロムがいじめられてしまう原因にパイプラインがハイリスクな事業だということが挙げられます。

    これを説明するのはなかなか難しいのですが頑張って説明してみます。
    わかる範囲で理解していただければと思います。

    パイプライン事業はコストがかかる

    そもそもパイプラインとは天然ガスの輸送手段のひとつです。天然ガスを輸送するには海上輸送LNG)と陸上輸送パイプライン)の2種類ありますが、ロシアでは冬に港が凍ってしまうため、海上輸送が難しく、陸上輸送(パイプライン)が主流になっています。

    (参考記事)天然ガスとは|天然ガスが使われるまでー武陽ガス株式会社

    しかし、天然ガスを陸上輸送することは思った以上のコストがかかります。

    天然ガスの発掘費不純物の除去などの費用はもちろん、たとえばパイプラインの土地の取得費建設費用管理・保守費用などの費用もかかってしまいます。

    また、A国のパイプラインを経由してB国に天然ガスを輸送する場合、A国に通行料を払わなくてはなりません。

    パイプライン事業は費用がかかるビジネスモデルなのです。

     

    パイプライン事業は政治的影響を受けやすい

    A国を経由してB国に天然ガスを輸送する場合、経由国(川中)のA国に政治不安があると最終消費国(川下)のB国への供給が滞ってしまうことがあります。B国に何も問題がないにもかかわらずです。

    B国としてはいい迷惑です。しかし、パイプラインを通しているという構造上、問題を解決するにはA国を迂回した別のパイプラインを建設するしかありません。

    それは非常に大変なことです。

    また、エネルギー政策は国家の根幹ですから、B国自身の政策変更によって需要が増減することもあります。

    以上のようにパイプライン事業は他国の政治的影響を受けやすく軌道に乗ってもなかなか順調に続かないビジネス構造なのです。

    わたしが読んだ著書(後述します)によれば相互依存的なビジネスモデルとのことでした。

    パイプライン事業は国vs国の喧嘩になりやすい

    パイプライン建設は大変なコストがかかるので、「パイプラインを作ったけどやっぱり使わない」というのはガスプロムにとって死活問題です。

    そういった事態を防ぐために、ロシア政府はわがままを言う国に対して圧力を加えることもあるのですが、逆にそれがEUの怒りを呼び、たちまち係争に発展してしまうこともあります。

    その結果、どうなるかというと、国際政治のところで説明した通り、多くの場合ガスプロムが辛酸を嘗めることになります。

    このようにパイプラインは多様なリスクを孕んだ事業にもかかわらず、他国から干渉を受けやすく、生産者より消費者が強い事業なのです。

     

    おわりに|寝かせて待ちます

    以上、ガスプロムおよびパイプライン事業について説明してきました。

    パイプライン事業の難しさがわかっていただけたかと思います。

    わたしから言わせれば、ガスプロムは潜在能力は半端ないけど、そのポテンシャルを発揮することがきわめて難しい(というか不可能な)企業です。

    だからでしょうか、PERが3倍台、PBRが0.3倍台とありえないほどの割安価格で株価は推移しています。

    もちろん、ガスプロムを取り巻く問題は構造的問題なので、来月もしくは来年に問題が解決するかと言えば間違いなくNOです。
    しかし、10年20年単位で考えればその問題も自然と解決していくかもしれません。

    別にガスプロム自身は真っ当なビジネスを行っていますし、国家を支える事業だけあってロシアの優秀な人材が流れてきます。

    いつ花が開くかはわからないけど今買っておいて損はないと私自身は考えています。いつか問題が解決することを願って眠れる獅子に投資するイメージです。(ずっと眠ったままかもしれませんが。笑)

    ちなみにガスプロムの投資判断をするにあたっては、下記の本が非常に参考になりました。

    ガスプロムの政治経済学: 2016年版 Kindle版

    Kindleでしか販売されていない本ですが、情報の質、量ともに申し分のない名著です。

    以上、ガスプロムについての解説でした。

    • 銘柄コード:GAZP
    • 銘柄:ガスプロム
    • PER:3.13
    • 配当利回り:4.95%
    • 時価総額:3.855兆ルーブル(RUB)(約6.4兆円)
    • 取引単位:1000株
    • 株価:162.82RUB(270.28円)
      *いずれも2019年1月25日時点のデータ

    *ロシア株はSBI証券で取り扱っています。

    最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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