こんにちは。投資の本を読んでいて、久々に刺さる一冊を見つけたので、今日はその本を紹介したいと思います。
個人投資家であり医師でもある、たーちゃんさんが書かれた著書です。
もともと50万円で投資を始め、資産を50億円に増やすまでのストーリーと投資法が書かれています。
シクリカル・バリュー株投資
たーちゃんさんの投資手法は、一言で言えば「シクリカル・バリュー株投資」と呼ばれるものです。
これは、景気循環する業界において不況期に割安となった銘柄を買う投資法です。
景気循環を利用した投資法自体は決して新しいものではありませんが、
「割安なタイミングを見極めて不況期に投資する」
という点を重視しており、具体的な選定方法やタイミングがわかりやすく説明されています。
そして、これは個人投資家にとってかなり有望な投資手法になるような気がします。というのも景気サイクルは平均4年ほどで循環していますが、機関投資家の評価期間は四半期、長くても1年単位だからです。
機関投資家のファンドマネージャーが「4年後には花が開くので待ってください」と叫んだところで、まずそんな長期間付き合ってくれません。連続で低パフォーマンスが続けば機関投資家はクビになってしまうでしょう。
ということは、シクリカル投資は機関投資家はできないということです。割安放置されていても次の四半期までに上昇しなければ機関投資家は拾えません。言い換えれば、四半期低パフォーマンスでも誰からも文句を言われない個人投資家に合った、理にかなった投資手法だと思いました。
バリュー投資家は頻繁に株価を見るな!
ここからは、私が特に刺さった部分を中心に紹介します。
まず最も印象に残ったのは、「バリュー株投資家は頻繁に株価を見ないほうがよい」と述べられている点です。
私もバリュー株投資を実践していますが、握力が足りずに上昇前に売ってしまったり、上昇の第一歩で売却してその後の上昇幅を逃したりすることがよくあります。
そうした“余計なこと”をしないためにも、頻繁に株価をチェックしないという考え方には非常に共感しました。
FIREしても半年で飽きる
あまり多く語られていませんが、キャリアの話も非常に参考になりました。
著者は子供が生まれた後に投資成績が低下。38歳のときにFIREして専業投資家になることを決意します。しかしながら半年でFIRE終了。時間を持て余して余計なデイトレードに手を出すくらいなら仕事に復帰したほうがマシだと考え、仕事に復帰します。
私も現在サラリーマンとして働きながら兼業投資家をしているのですが、著者と同様、間違いなくFIREは飽きると思います。しかも私は医師のような雇用流動性のある資格を持っていないので、仕事を辞めてしまったら片道切符です。
もちろん人それぞれとは思いますが、私は「仕事を主軸にしつつ、限られた時間でバリュー株投資を行う」という姿勢でいこうと再確認しました。
企業分析はパワプロのステータス評価に近い
もう一つ印象的だったのは、後半に登場する「企業分析レポートの書き方」という項目です。
ここではアークランドサービスの企業分析レポートが具体例として紹介されており、その書き方が丁寧に解説されています。
企業分析レポートの構成項目は以下のとおりです。
- 会社名
- 会社の沿革および事業内容
- 業績推移
- 財務諸表の要約
- 財務指標
- 企業価値
- 投資判断
- 企業分析レポートの総括
7個目の投資判断の項目では、さらに以下の7項目をA〜Eで評価します。
- 資産から見た割安性
- 収益力から見た割安性
- 財務健全性
- 収益性
- 成長性
- 事業素質
- 株主重視姿勢
著書でこの投資判断は「実況パワフルプロ野球のステータス」に例えられています。パワプロでオールSの選手が存在しないように、オールA評価の企業もまず存在しない。俊足巧打タイプや、長打力タイプのように“キラリと光る部分”があれば良い・・・。
この例え、まさにパワプロ世代の私にはぶっ刺さりました。
ナポレオン流投資判断
よりパワプロに寄せたいワタシ。ほぼ丸パクリですが、項目と評価単位を私なりに調整してみました。
パワプロの野手はミート、パワー、走力、肩力、守備力、エラー回避の6項目をS〜Gで評価されます。しかし、本書の投資判断の項目は7項目でA〜E評価・・。今回はパワプロらしくS〜G評価にし、さらに項目が1つ多いので、株主重視姿勢は弾道として加えてみることにします。
- ミート(資産から見た割安性)・・・例:A
- パワー(収益力から見た割安性)・・例:B
- 走力(成長性)・・・・・・・・例:C
- 肩力(収益性)・・・・・・・・・・例:D
- 守備力(財務健全性)・・・・・・・・・例:E
- エラー回避(事業素質)・・・・・・例:F
- 弾道(株主重視姿勢)・・・・・・・例:1
成長性は若手のイメージなので走力に割り振って、財務健全性は堅実なイメージなので守備に割り振り直しています。
私はこんな感じで評価していこうかなと思いました。
おわりに
以上、こちらの本の紹介でした。
たーちゃんさんは末期がんで余命宣告を受けているそうでして、もともとは娘さんのために書かれた本とのことですが、遠く離れた見ず知らずの私にも強く響く内容でした。
たーちゃんさんに幸あらんことを。
今日は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました